学生時代の頃から暇さえあれば本屋に立ち寄るような人間だったのだけど、ふと「なんでこんなに本屋に惹かれるんだろう」と疑問に思った。
無性に小説が読みたくなるときは東野圭吾と湊かなえを交互に読んだり、山田悠介にどっぷりハマったこともあった。(ミーハーなので人気の小説ばかり読んでいた)
ビジネス書を買い集めるときもあれば徹夜で漫画を読む時もある。
しかもそういう無性に本が読みたくなるタイミングはだいたいテスト前とか、就活真っ最中のときとか、卒論提出前とかだ。
きっと現実に迫る嫌なことから目を背けたくて本屋に逃げ込んでいたのかなとも思う。
本を読んでいる間だけは、現実のことは一旦忘れて、その世界に夢中になれるから。
印象に残っているのは大学3年生の就活中の頃だ。
地元の札幌駅のそばには紀伊国屋書店(札幌本店)があって、そのビルの上にはわたしが通っていた大学のサテライトキャンパスがある。
就活の頃は、サテライトキャンパスでキャリア相談に乗ってもらったり面接対策をして、その帰りに紀伊国屋書店に立ち寄って就活の参考書やビジネス書と一緒に小説を買って読んだりした。
小説を読むと、就職という将来の不安から一時的に逃れられるような気がしたのだ。
その頃は東京と北海道を行き来しながら就活をして、合間に履歴書を書いたりSPIを受けたりしてバタついていた。
表面上は「内定がすべてじゃない」と思いながらも、次々と内定をもらう友人たちを見て焦りを隠せなかった。
プレッシャーで頭が真っ白になりそうなときはいつもカフェで小説を読んだ。そうしてわたしは本という存在に助けられながら就活を終えた。
無事上京することが決まり、卒業式を終えた翌日に旅立つことになった。
飛行機に乗る直前、仲の良かった友人たちと、また札幌駅の紀伊国屋書店にあるスタバで落ち合ってこれからの期待や不安をそれぞれ共有した。
それぞれが未知の世界に踏み込む前のあの表情は忘れられない。
***
それから4年経って、今月わたしはその札幌駅の紀伊国屋書店でトークイベントを開催する。
まさかこんなかたちでお世話になる日がくるとはおもわず、いささか現実味がない。
すでに「行くよ!」と声をかけてくれた地元の友人知人がいて、すでに感動している。わざわざ時間をさいてわたしの話を聞きに来てくれるって、よくよく考えれば結構すごいことなんじゃないか・・・。
誰かにとっての、何かを始めるきっかけとなる話ができたらと思う。
札幌のみなさん、2月17日、お待ちしております。
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