「できないことをできるようにするのが人生だ」
と思いながら生きてきたものの、意志が弱いわたしはすぐ次の瞬間には「でもやっぱり自分にはできっこないんじゃないか」という闇の自分が見え隠れする。
だけどこの3年間、曲がりなりにも自分のやるべきことを実現するべく動いてきた結果、「できっこない」と思っていたことは、数年後には意外と実現していることが多かった。
5年前、「私が起業なんてできるわけない」と思ってた。
なんとなく就活をして、それとなく希望した会社に入社することができた。
その一連のライフイベントにはなんの疑問も持たなかった。
というより「そうすること以外に選択肢なんてない」と思い込んでいた。
ネットでニュースを見ると、同年代が起業し、何億円も資金調達している記事が出ていたり、華々しい活躍が目に入った。
自分とは全く別世界の話だと思っていたし、自分にはそんな働き方はできない、そんなことができるのはすでに決められた優秀な人たちだけが成せる生き方だと思った。
しかし社会人1年目の終わり頃、家と会社の往復で毎日が過ぎていく人生に絶望し、これからの生き方を探り始めた。
会社以外での出会いが少しずつ増えた中で、自分の身近なところにも起業家やフリーランス、はたまた無職でなぜか楽しそうに生きている人を目の当たりにした。
そのとき、私の中の「できるわけない」が「意外とできるのかもしれない」に変わった。
4年前、「私が文章なんか書けるわけない」と思ってた。
社会人2年目になり、会社の仕事もどっちつかずで、やりたいことも見つからずもがき苦しむ時期が続いた。
今でも覚えているのは、平日の朝、満員の東武伊勢崎線(スカイツリーライン)で人の波につぶされながらたくさんの人のブログを読み漁っていたことだ。
当時はイケハヤさんがブロガーの第一人者のような存在で、雲の上の人だと思いながら記事を読んでいた。
そこから会社を辞めた人、旅をしてる人、ブログで生きている人、いろんな人の記事を読みこんだ。
この世の中にはブログを書いて生計を立てる人がいるんだ、これまた別世界の話だなぁと思いながら、「自分にはそんな文章を書く才能なんてないしな」と、完全に傍観者視点で記事を読んでいた。
そこからしばらくして、たまたま参加した旅のイベントで、ブログで独立したばかりの人と出会う。
別世界の話だと思っていたことが、意外にも身近にあったことに気づく。
「ブログって無料で開設できるし、あとは書くだけだよ」
そんな一言で、自分のなかで勝手にハードルを上げて「できっこない」と決めつけていたことを恥じた。そうか、ブログを書くというのは誰にでもできることなんだ、と。
そのとき、私の中の「文章なんか書けるわけない」が「書けるかもしれない」に変わった。
3年前、「私がコミュニティなんか作れるわけない」と思ってた。
ブログを始めて、気づけばその3ヶ月後に会社を辞めていた。
5年前に「起業なんかできるわけない」と思っていたことは、個人事業主として独立するという現実になり、
4年前に「文章なんか書けるわけない」と思っていたことは、ブログを通して文章で食っていくという覚悟に変わった。
今からちょうど3年前にフリーランスとなり、すべてが自分の責任でビジネスをするという未知の世界に飛び込んだ。
何もかもが初めてで、わからないことに必死に食らいついて、自分で道を作っていく感覚に武者震いした。
毎日もやし生活からなんとか抜け出して、少しずつ軌道に乗り始めた頃、同じような境遇の仲間ができるようになった。
なんでも1人で動きたくて組織を抜け出してフリーランスになった身だけど、1人になったらなったで同じ志を持つ仲間がいる大切さを実感した。
もっとそんな仲間と出会いたい、と思った。
だけど今までのわたしにコミュニティを作るような力量などなく、ましてやリーダーのような立ち回りをしたこともなかった。
つねに誰かの後ろに隠れ、言われたことだけをこなしてきたわたしが、仲間を先導することなんてできるのか?
意志の弱いわたしが人を集めても、失望されてしまうだけなんじゃないか?
ずっとそんな葛藤が抜けなかった。
ただ、これまで「できっこない」と思っていたことが少しずつ実現されてきたこと、
プロ無職のるってぃと「一緒にコミュニティ作ろう」と言ったことが後押しになって、なにもわからない状態のままオンラインサロンを立ち上げた。
最終的には150人を超えるメンバーと1年半活動し、そのサロンは解散してしまったけど、その後も尊敬する仲間と仕事をしたり、プライベートで励ましあったりしている。
そして今新しく立ち上げたコミュニティにも、その経験が存分に活かされている。
もちろん全部がうまくいくことはなくて、周りに死ぬほど迷惑かけたり、もうやめたいって思ったことは一度じゃないけど、そのたびに支えてくれる人たちの温かさを思い出すと、また立ち上がる力が湧いてくる。
そんなありがたさを知れたのも、自分の中の「できっこない」が「できるかも」に変わって、動き出せたからこそだ。
昔の「できるわけない」は、今、全部実現している。
これまでの経験を振り返っていると、「できるわけない」が「できるかも」に変わる瞬間は、いつも誰かの言葉だったり、生き様だったりに触れたときだった。
そうやっていろんな人からたくさんのきっかけをもらって、わたしの人生は成り立っている。
「できるわけない」という言い訳を、言い訳で終わらせんじゃねぇって背中を見せてくれた人がいるから、昔できなかったことが今できるようになっている。
今、「できるわけない」と思ってることは、いつか実現するかもしれない。
そのきっかけは、日常の、ほんの一瞬の出来事にあるのかもしれない。