「もっと自分の時間を確保したい」。そう思って会社員2年目の途中から定時退社するようになった。周りがほぼ全員残業している中で、だ。
もともと残業するのが当たり前の社内だったというか、「残業しない奴は仕事してない」という暗黙の認識があったようにわたしの中では思う。
そんな中で定時退社をするのは、かなり心が折れた。
周りの視線が痛かった。
席を立って「お先に失礼します」と言う瞬間が怖くてたまらなかった。
それでもわたしが定時退社をしたかったのはなぜか。
自分の時間を確保しなければ、今後の人生を変えられない
社会人1年目を終えたとき、わたしは漠然と不安を感じた。家と会社をひたすら往復し、土日を楽しみに平日を過ごす日々に。
「このまま下手したら40年間、こうして働き続けるのか・・・?」
自分の夢ややりたいことは、定年後のおばあちゃんになってからじゃないとできないのか?自由に海外を見て回れるのは、体力に限りある年齢になってからでしかできないのか?
そう思うと、絶望的な気分になった。
だからわたしはそこから、「場所にとらわれずに働きたい」と強く思うようになった。
でもどうすればそんな働き方ができるのか、ひとつの会社でしか働いたことがないわたしには到底思いつかない。
そこから、自分の会社以外の人と関わりを持つことの重要さに気づいた。会社以外の人と出会わなければ、わたしの中の働き方の選択肢は広まらないからだ。
その後、いろんなトークイベントやワークショップなどに足を運ぶようになったのだけど、平日の夜に行われるようなイベントには残業をしているとなかなか行けない。
平日に朝から晩まで仕事をしていると、頭の中が目の前の仕事のことに精一杯になってしまい、今後の自分の人生について考え、動く時間が確保できなくなってしまう。
わたしは、これからの自分の人生の動き方を考えることのほうが優先されるべきだと思っていた。これから進む方向が定まらないと、自分がいまどう働き、行動するべきかが変わってくるからだ。
だからそのためには、「会社の仕事を時間内に終わらせて、残りの時間を自分のために使う」という決断をするべきだと思った。
自分の時間を確保せず目の前の仕事だけをやっていては、これからの人生を変えられないのだ。
恐怖心を拭ってくれたのは、会社以外の人たちの存在
「定時で帰ろう」。そう決めてからは、思い切って定時のチャイムがなったらすぐ退社するようにした。
一番怖いのは、定時退社をする最初の1週間だ。
いきなり早く帰り始めるのだから、まわりの人たちは「今日はなにかあるの?」という雰囲気になる。そして毎日定時で帰り始めると、だんだん「最近帰るの早くない・・・?」という視線に変わってくる。
なにか直接怒られたりとかしたわけではない。
だけど、「まだ仕事あるんじゃない?」「先輩や上司がまだ残ってやっているのに」という無言の圧力のようなものをひしひしと感じて、正直メンタルがやられそうだった。
そうまでして定時退社を貫いたのは、会社以外の人たちの存在だった。
「全員残業してるなんて、そんな働き方よくない」
「早く帰って自分のやりたいことをやっていい」
そういった励ましがあったから、わたしは自分の行きたい方向にいけたのだと思う。その会社での働き方が必ずしも正解ではないことを、会社以外の人たちとの触れあいによって気づくことができた。
もしいま自分のやりたいことがあって、でも会社の残業が多くて時間を割けない人は、思い切って会社以外のコミュニティや人に触れるといい。
会社と家以外にも居場所ができれば、会社という狭いコミュニティのルールに縛られ身動きがとれなくなることはない。
これは会社をやめたくてもなかなかやめられない人にも言えることだ。
関連記事:会社辞めたいけど辞められないって人は「会社以外の居場所」を作るべきだ
わたしは結局、そこから1年ほど経って会社を退職し、独立した。「将来の夢はOL」と言っていた昔の自分であれば考えられない決断だ。
それほど会社以外での人との出会いが、わたしの人生や価値観を変えた。そして、定時退社して自分のために時間を使ったおかげで、独立への準備ができたのだ。
会社の評価と、自分の今後の人生、どちらが大事か
もちろん今の会社の働き方に満足している人はこんなことを気にする必要はないと思う。
でももし、「今の働き方で本当にいいのか?」と思うのであれば、それをしっかり考えるための時間を確保するべきだ。
会社での視線や評価が怖くて残業をやめられない人。
会社での一時の視線や評価と、自分の今後の人生はどちらが大事だろうか?
その会社で一生勤め上げるならば、評価は大事かもしれない。でも必ずしもそうでないのならば、まず自分の人生を考える時間を確保することのほうが大事ではないだろうか?
考えた結果、いまの会社で納得して働くならそれでもいいし、違う働き方をしたいのなら、転職活動をするなり独立に向けて準備をするなり、それに向けて動くべきだ。
どちらにせよ、目の前の仕事に精一杯で自分のこれからのキャリアや人生について何も考えずに過ごしてしまうのは、もうやめよう。
合わせて読みたい